- 時期:2017年12月
- 名前:りえこ
- プロファイル:30歳・旦那と別れたがっている若妻
- 服用薬:シアリス
- 会った回数:1回
- メモ:可愛いのに控えめで自己肯定感の低い天然女子
彼女はなぜ出会い系をやっているのか
我々はソファに並んで腰掛け、ぽつりぽつりとお互いの身の上話をしました。風呂場からは湯の音が聞こえています。
私は会う女性のほぼ全員に「どうして出会い系をしているのか」という質問をするようにしています。そこから彼女たちのニーズを探り、傾向を分析し、今後の出会い活動に活かすことができます。それが主な目的ではあるのですが、女の子によってはかなり赤裸々に個人的な事情を話してくれる場合があります。それを聞いてその気持ちに寄り添うことで、秘密を共有するというある種の連帯感が生まれたりします。そしてうまくいけば、それがその後のセックスをより親密なものにしてくれます。
りえこさんは自分から歳を誤魔化していたことを打ち明けました。
「ごめんなさい、私本当は30なんです。プロフィールには20代後半って書いたけど」
私は歳のことはまったく気にしないタチなので、ああそうなんだと思っただけでした。
「そうだったんですね。20代と30代だと何か違いがあったりするんですか?」
「私の気持ちの問題っていうのもあるんですけど、20代にしておいた方が出会いやすいかなと思って」
なるほど。それはまあそうかもしれません。私は若さということにそれはど価値を見出さないタイプですが、若い子の方が好きだという男性はきっと多いでしょう。
「ご結婚されてるんですよね?」
「はい、27で結婚しました」
「最近の傾向だと結構早いかな?そうでもないですか」
「いや、早いと思います。私の友達とかはまだ独身の方が多いし」
「ご主人とはどこで知り合ったんですか?」
「大学が同じだったんです」
「ああ、なるほど」
大学で出会って付き合い、社会に出てからも別れることなくゴールインできたのはむしろ幸せなことではないでしょうか。自分自身が大学のときの彼女と社会人になってから別れてしまった経験を持っているので、純粋にそういう風に思います。
そんな彼女がなぜ出会い系をやっているのでしょうか。どうしてわざわざクリスマスに旦那以外の見知らぬ男と密室で二人きりになっているのでしょうか。
「私、近々離婚しようと思ってて」
彼女がはにかんだように言いました。まるで旦那の惚気話でもしているようなその照れ臭そうな態度と彼女の口にした言葉にはかなりのギャップがありました。私は幾分面食らいました。
「そうなんですね。それはまたどうして?」
「子どもが欲しいんです。でも主人との間にはできそうになくて」
「立ち入ったことを聞きますけど、ご主人に何か、その、生殖機能的な問題がある?」
彼女は首を振りました。
「ううん、そういうのはないです。ただ子どもを作るための営みがないっていうか」
「ああ、何というか、レスなんですね?」
「はい」
セックスレスは近年社会問題として取り沙汰されることが多いですが、離婚の原因になる実例がこんなにも身近なところにありました。かくいう私も配偶者とはきれいにレスの関係です。だからネットで知り合った年若い女性とこうしてここにいる訳なのですが。
「いつから?」
「大学のときは普通にしてました。それが結婚する前後くらいからかな、ほとんどしなくなって」
「そうなんですね。ご主人のお仕事は忙しいんですか?」
「そうですね、夜遅いことは多いかな。私は朝早いから彼が帰ってくる前に寝ちゃってることも多いです」
「ええ」
「でもたまにこっちから誘っても拒否されて」
「拒否されると辛いですよね」
「ええ、それでもう嫌になっちゃって」
「わかります」
わかります。こっちがその気でも、相手にまったくそういう気がないとどうしようもないですよね。私自身もほとんど同じようなコースを辿ってレス夫婦になっているので、彼女の気持ちは痛いほどよくわかりました。
「それは子作りどころじゃないですね」
「でも一人ではしてるみたいなんです。気づかないふりしてますけど」
世の男性諸君、あなたのセルフタイムばれてますよ。
「それで、私にも年齢的な制限があるし、別れることにしたんです」
「ご主人とはもうその話はしてるんですか?」
「いえ、まだなんです。来年になった話しようかなって」
赤の他人である私には彼女がどのような結婚生活を送っているのか知る由もありませんが、静かに離婚を決意しているその姿にはある種の凄みがありました。
「それで出会い系で再婚相手を探してるんですか?」
「そこまでは考えてないです。でも寂しいなって感じることが多くて」
「寂しさ」というのは超重要キーワードです。もちろん一言で寂しいと言っても、その気持ちに仮託された想いは本当に人それぞれです。ただ、その寂しさを解消する手段の一つとして出会い系を利用するというのは、私がこれまで出会ってきた女性たちにも共通する行動様式でした。無論私自身もそうです。
りえこさんにとって何が幸せなのか、それは彼女自身にしかわからないことなのでしょう。彼女のある種の自己肯定感の低さは寂しさから来るものなのかもしれません。「こんなに可愛いのに」というのは所詮は他人の勝手な思いです。夫婦の仲というのは一度ダメになると、もうどうしようもないものなのでしょう。
一期一会
りえこさんとのセックスは、そこに至るまでの胸踊る過程と比べるとやや淡白なものでした。もっと言えば多少の不完全燃焼感の残る交わりでした。彼女は美しい女性でしたし、その身体は想像どおりほっそりとした上品な作りで、それは私の好みのど真ん中でした。初対面の女性が全裸で目の前にいるという状況に興奮を覚えました。ただ、テクニックの限りを尽くして彼女を乱れさせるということにはならなかったので、そこが心残りだったということです。
我々はかわりばんこに風呂に入って準備をしました。バスローブを羽織ってベッドに上がると、彼女は真面目な顔で「よろしくお願いします」と言って頭を下げました。私も思わず「あ、こちらこそよろしくお願いします」と返します。これからセックスをするにしてはずいぶんと奇妙なやりとりです。やはりちょっと天然気質があるようです。
私は彼女を優しく抱き寄せ、唇を重ねます。そこから彼女の身体を温めるべく時間をかけてじっくりと愛撫していきました。ただ、その身体は美しく魅力的だったのですが、性的な高まりというものが起こりづらい体質だったのかもしれません。あるいは私との相性の問題かもしれないし、その日の彼女の調子が悪かったのかもしれません。りえこさんは私の愛撫に身を委ねてくれてはいたものの、大きな反応は示しませんでした。他の多くの女性であれば30分も時間をかけて身体を温めれば十分に潤うはずの箇所も乾いたままでした。彼女は「痛くなるから膣に指は入れないで欲しい」と言いました。ただの想像ですが、以前に他の男とのセックスで痛い思いをしたことがあるのかもしれません。
私は指先に感じる女性器の乾いた感触に焦りを覚えました。そこで方針を転換し、オーラルにたっぷりと時間をかけることにしました。唇と舌を使って彼女のクリトリスを丹念に刺激します。それを長時間続けてようやくペニスを挿入できる状態になりました。
長いクンニを終えると、攻守交代とばかりにりえこさんが私に馬乗りになってきました。彼女は私のペニスを口の中に導き入れ、上下にゆっくりと動かしました。それは本当に素敵な感触でした。私はゆっくりめのフェラチオが好みなのですが、りえこさんのそれは正にツボを心得たものでした。気持ちよさのあまり腰がベッドに沈みこみます。ずっとこの快楽に浸っていたいのですが、なにぶん早漏の身、放っておくと遠からず彼女の口の中に射精してしまいます。
私は適当なところで上体を起こし、彼女の頭に手を置いてこう伝えます。
「そろそろ挿れたいな」
「ん」
彼女は咥え込んでいたものを離しました。
手早く避妊具を装着します。ペニスは十分な硬さがありました。それを彼女の膣の中へとゆっくりと挿れていきます。りえこさんの口から吐息のようなものが漏れました。
彼女は目を閉じて恍惚の表情を浮かべているものの、声らしい声は出さず吐息が漏れる程度でした。薬がよく効いたのか、りえこさんの薄めの反応がかえってよかったのか、私はその日かなりの長時間「もたせる」ことができました。時間にして20分程度だったと思いますが、私は緩急をつけながらいつまでもピストンを続けることができました。正常位、騎乗位、後背位と体位を変えながら彼女との交接を楽しみます。騎乗位ではお互いに抱きしめ合いながら唇を求めました。素敵な時間でした。本当はもっと挿れていられたのですが、あまり長くやり過ぎるとりえこさんに負担がかかってしまいます。私は頃合いを見て体勢を正常位に戻し、しっかりと彼女を抱きしめながら最後の瞬間へ向けてピストンのスピードを上げました。
「あ、あ、や、やあああ、あ!」
りえこさんの口からようやくはっきりとした泣き声があがります。私は彼女の切迫した声と歪んだ顔に興奮を覚え、往復運動の速度をさらにあげます。下腹部の奥の方に兆していた射精の感覚は後戻りできる地点を超え、もはやこのままいくしかないという状況になりました。そして激しくマグマが噴き出るがごとくにエネルギーが放出されます。
我々は双方肩で大きく息をしながら、ベッドに並んで寝転びます。
挿入時間はまあまあ長かったのですが、私が得意とする膣への指愛撫やアナル舐めなどはできずに終わりました。りえこさんの反応は全体的に淡白で、おまけに前述のような制約があったために、私は彼女をいかせることができませんでした。冒頭に述べたとおり、そういう意味で不完全燃焼感のある営みでした。
ただ、交わりが終わった後にはまた素敵な時間が待っていました。彼女は私にぴったりと身を寄せて、いろいろな話をしてくれました。身の上話の続きから、趣味の話まで、心底お喋りを楽しんでいるようでした。彼女の柔らかく優しい胸の感触を脇腹に感じながら、私は幸せに浸りました。
会話は風呂場へ移動してからも続きました。我々は湯船の中で手を繋ぎながら、時間をかけて色々な話をしました。りえこさんはころころとよく笑い、私に心を開いてくれているのがわかりました。
まるで恋人同士のようななごやかな時間を過ごし、よい雰囲気のまま我々は別れました。
別れ際に彼女は「またお願いします」と言いました。私の方も当然また会えるものだと思っていました。
彼女は本当に可愛らしい女性だったし、彼女の表情や話し方には私を癒してくれるものが含まれていました。セックスそのものにもうひとつ満足できなかったのも、彼女とまた会いたいというモチベーションになりました。次こそは彼女をいかせてみたい、そんな風に思っていました。
しかし、我々はその一回限りで二度と会うことはありませんでした。
会った日の夜に彼女にお礼のメールを出しました。
翌日の午後遅く彼女からの返信がありました。私がそれにまたメールを返して、それっきりです。
何十人もの女性との出会いの経験を重ねた今では、一回きりで終わってしまう関係はむしろ普通のことなのだとわかります。会っているときは雰囲気が良くても、そしてまた会おうと約束したとしても、私にはよくわからない理由によって、それが叶うことはついにありません。
私の方に何か根本的な問題がある可能性もありますが、検証のしようがありません。
そんな訳で、私はまた次なる出会いを求めて出会い系サイトに戻っていくことになります。
今でもクリスマスの時期になるとりえこさんのことを思い出します。可愛くてやや天然気質だった彼女。無事に離婚できて、望むような方向に人生をシフトすることができたでしょうか。
人知れず彼女の幸せを祈ります。