- 名前:なおこ
- プロファイル:30代後半・スレンダー体型の人妻
- 服用薬:シアリス
- 会った回数:8回
- メモ:定期さんにして毎月のように会っていた子
そして当日
そして当日を迎えます。
新しい女性と会うときはいつもそうなんですが、緊張と焦り、期待と全能感が混じり合ったような、とても妙な心持ちになります。
どんな人が来るのだろうか、デートを楽しんでくれるだろうか、自分とのセックスで感じてくれるだろうか。
私は改めて熟女芸能人Aの笑顔を頭に思い浮かべました。もちろんそれは私の勝手な妄想なのですが、実物を目にするまではそれを止められないのです。
その日はネットで調べたフレンチのお店を予約してありました。
人気店らしく、口コミには予約を取るのは困難だと書いてありましたが、電話をしたらたまたまカウンター席が空いているとのことでした。
かなりの散財にはなりますが、なおこさんがデートのつもりで来てくれるのであれば、こちらも相応のおもてなしをしなければなりません。
今回はシアリスという新しい勃起薬を用意してありました。
効き目が数日間続くというもので、欧米ではウィークエンドサプリメントとも呼ばれているそうです。飲食の影響もほとんど受けず、副反応もなく、効果の持続時間がとにかく長いので、いつどんなタイミングでそのときを迎えても大丈夫だということです。
私が今まで飲んでいたバイアグラ系に比べると割高ですが、飲んでからセックスまでの時間を計算しなくてよいというのは楽でした。
適当に空腹になったところを見計らって水で流し込みます。
彼女との待ち合わせ前に駅前のデパートへ立ち寄ります。
私は結婚して子どもが出来てからというもの、プライベートの服についてはファストファッションのお店で買うことがすっかり当たり前になってしまいました。
家事育児が生活の最優先事項になるとお洒落をしても無意味だからです。
昔はデパートに入っているお気に入りのブランドショップで、上から下まで揃えたりもしていましたが、そういうこととはすっかり縁遠くなってしまいました。
久しぶりにデパートのショップで服を物色していると、改めてその高さに驚かされます。ユニクロと比べても仕方がないんですけどね。
なおこさんにカジュアル過ぎるのはダメだと言われて、そのときは多少腹立たしい気持ちもありましたが、服に気を遣わないのは確かにダメだなとも思いました。服に限らず、いろいろなものに頓着しなくなった結果、かつての青年はもてない中年男に成り果てていくのかもしれません。私は彼女をがっかりさせない為に、久々に服に金をかけることにしました。
時間もないので、これはと思った綺麗目のシャツを購入します。軽く2万円近くが飛んで行きましたが、そんなに悪くない気分です。
すぐに着ていくと伝え、その場で羽織りました。店員さんが「よくお似合いですよ」とお世辞を言ってくれました。
5分前に待ち合わせ場所に着きました。
周りをそれとなく見回しますが、まだなおこさんは来ていないようです。
この見知らぬお相手を待っている間の何とも言えない心持ち、何度経験しても慣れることがありません。
彼女は電車で来ると聞いていました。私は改札からの動線となるであろうエスカーターの方を見つめていました。
地下から上がってくるエスカレーターがどんどんと人を吐き出していきます。
若くて細身の女性が視界に入るたびに、あれかな?と思っては、その人が全然別の方向へ歩き去るのを目で追いました。
「こんにちは、なまくらさんですか?」
全然予想していなかった反対側から声をかけられました。
そちらに身体を向けると、髪の長い女性が立っていました。
本当にできるの?
なおこさんは一見してスレンダーな体型の女性でした。
黒髪ストレートに面長な顔、やや厚めの肉感的な唇、涼しげな瞳。スカートの裾からのぞく脚はほっそりとして形が良く、手先も指がすらっとして綺麗でした。サマーニットを押し上げる控えめな胸に美しい鎖骨のライン、お腹は少なくとも服の上からはまったく膨らんでいる様子がうかがえず、腰がきゅっと細くなっていました。
待ち合わせ場所に現れたのは、そんな女性でした。
何度も妄想していた熟女芸能人Aとは似てもにつかぬ顔でしたが(当たり前ですが)身体の方は本人の申告どおり細身で、私の好みのど真ん中とも言えるものでした。何時間か後にこのほっそりした女性とホテルへ入ってセックスするんだと思うと、随分と不思議な気持ちになりました。
私は予約してあったフレンチに彼女を連れて行きました。
カウンター席に並んで腰掛け、フレンチのコースを頂きながら、ぽつぽつと話をします。
彼女は食べ歩きの話をしていたように思います。どこそこのかき氷が美味しいとか、そういう話でした。私自身はかき氷にそんなに興味がないのですが、ふんふんと聞いていました。私はずいぶんと緊張していましたし、なこさんもそれなりに緊張していたのでしょうか、意気投合するという感じではありませんでした。というか、カウンター席に並んで腰掛けていながら、我々の間には結構な距離があるように思えました。
たいして盛り上がるでもなく、高いけれども印象の薄いフレンチを食べているうちに、だんだんとわからなくなってきました。
なおこさんとはセックスを前提に会う約束をして、だからこの場にいるはずなのですが、本当にそうなのか確信が持てなくなってきたのです。
本当にできるのか?
お店を後にし並んで歩きます。
私はこの後ホテルへ行って大丈夫なのかといまいち自信が持てないでいました。
とはいえ、彼女に「このあと我々はホテルへ行くんですよね?」などと聞けるはずもありません。そんなことをしたらバカだと思われて終わりです。
悩んでも仕方がないので、当初の目的地へと歩きます。なこさんは特に何も言わずについてきました。
その建物の前まで来たときに、私は思わず聞いてしまいました。
「ここにしようと思うんですが、、」
なおこさんは私から視線をそらし、小さな声で
「あ。大丈夫ですよどこでも」
と、いくぶん投げやりな感じで応えました。
ううむ、やはり聞くべきではなかったようです。彼女に恥ずかしい思いをさせてしまいました。
適当に空いている部屋を選んで入室します。
ソファに腰掛けるや否や、彼女は当たり前のようにリモコンを手に取ってTVをつけました。
あまりにスムースで自然で躊躇のない動作だったので、私も「ああ、TVみたいのね」と一瞬納得してしまいそうになりました。
それから、また疑念がむくむくと頭をもたげます。
TVを見始めるということは、私とはこれ以上コミュニケーションを取る気がないということではないだろうか。コミュニケーションを取らずして、その究極の形態であるセックスに至るとはおよそ考えられないことです。
私は昔とある女性とホテルに入ったときのことを思い出しました。その女性はまあまあ綺麗な人でしたが、言動に違和感を感じることが多く、性格が合わないなあと思っていました。そのときも、その女性は部屋に入るや否やTVをつけたものでした。そして延々とTV鑑賞に興じたかと思うと、突然「眠くなった」と宣言してベッドに横になり、そのまま寝息をたてて寝てしまったのです。
だったらホテルに来るなよ!TV見たり寝たりしたいんだったら自分んちでいいでしょ!と怒りたくなりましたが、彼女は眠ってしまっています。
仕方がないので私はラブホテルのTVで2時間映画を見て過ごし、その後ようやく起きてきた彼女を連れて部屋を出たのでした。セックスどころかろくに会話もできませんでした。今になってみれば、彼女がそういう態度を取った理由は何となくわかります。私はホテルに入るイコール自動的にセックスが始まるくらいに安易に考えていて、きっちりと彼女をエスコートできていなかったのでしょう。彼女がホテルについて来たのは何かのはずみで、それまでにしっかりとムード作りができていなかったこっちの責任なのです。彼女のことを責めることはできません。とはいえ、その経験は手痛いものとして私の中に長く残りました。
なおこさんがTVをつけた瞬間に私の脳裏には、そのときのなんとももやもやとした心持ちがありありと蘇りました。
本当にできるの?と改めて思いました。
幸いなことに、なおこさんはTVを見てはいるものの、番組の内容について私になんやかやと話しかけてきました。どうやらコミュニケーションをシャットアウトするという意図はないようです。
おそらく自宅でもTVをつけっぱなしで生活をしているのでしょう。
誰かが「TVは家庭におけるもうひとつの人格だ」と喝破したことがあります。TVが喋り続けている限り、我々は無理に会話をしなくていいし、寂しさを感じることも、沈黙を恐れる必要もありません。事前のメールで、彼女から家庭があまりうまくいっていないと聞いていたので、あるいは無自覚にTVに救いを求めているのかもしれません。
彼女がTVの方に意識を向けているという逆境ではありましたが、私は何とか番組の内容やら、そこに登場する芸能人のことやらをネタにコミュニケーションを試みました。なおこさんは顔こそTVに向けていましたが、私の話に声を出して笑ったり、質問を返したりと、普通に会話をしてくれました。それで少し気が楽になりました。
そろそろどうですか
そうやって半時間ほどが過ぎました。私は表面上は落ち着き払っていましたが、内心焦り始めていました。いつまでもこうしてTVを見ていても埒があきません。私は限りある時間をやりくりして今ここにいる訳ですし、それは彼女の方も同じでしょう。私はセックスにはかなりの時間をかけるタイプです。前戯と挿入を合わせると最低でも1時間は欲しいところです。ベッドに入る前、ことが終わった後にもいろいろするべきことはありますし、トータルで1時間半から2時間くらいは営みのために使いたいと考えています。このままTVをだらだらと見ていていいはずはありません。私は改めて昔のことを思い出し、せっかくホテルに入ったのに何もせずに解散という事態だけは避けたいと思いました。
「そろそろシャワーにしましょうか?」と彼女に水を向けます。
いい加減、そろそろどうですかという気持ちです。
「あ、はい」
と彼女。
「よかったらお先にどうぞ」
「あ、はい、じゃあ」
なおこさんは浴室へと消えていきました。ようやく物事が前に進みました。
私はまず忌々しいTVの主電源を切り(TVに罪はないですが)、それからベッドサイドのパネルを操作して部屋の明かりを落としました。
真っ暗にしてしまうと、なおこさんのボディーを鑑賞できません。薄暗いけれども何とか物が見えるくらいに調整しました。
避妊具の場所と個数をチェックし、掛け布団の上に敷いてあるアジア風の飾り布とクッションをまとめてベッドの脇にどけました。
私はそれだけを手早く済ませると、ソファに腰かけて彼女が出てくるのを待ちました。
やがて浴室の水音がやんで、ドアを開閉する音が聞こえました。何分かして脱衣所のドアがからりと開き、なおこさんが出て来ました。
「おお、暗くなってる」と彼女ちょっと驚いたように言いました。
「明るさこれくらいで大丈夫ですか?」
「はい」
彼女は白いバスローブを身に纏っていました。薄暗がりの中にも、彼女の胸の控えめな膨らみと綺麗な脚が見えます。
「じゃあ僕もシャワー行ってきますね」
私は手早く歯磨きを済ませてから浴室に入りました。
一人でシャワーを浴びていると、ようやくセックスできるんだなという実感が湧いてきました。
眉間の奥に火花が散るような感じがして、心臓がどきどきと早鐘を打ちます。
フェラチオをしてもらう可能性もあるので、性器の周辺は念入りに洗いました。
バスタオルで身体をふき、バスローブを羽織ります。タオル地の感触が肌に心地よく、気分が高揚します。
鏡で顔や髪が乱れていないかチェックし、念入りに口洗液で口の中をゆすぎます。
これで準備はOKでしょうか。
私は引き戸を開けて、脱衣所を出ました。
彼女はベッドの中にいるようでした。さすがにTVはついていませんでした。
「お邪魔します」
掛け布団をそっとはいで、彼女の隣に身体を横たえます。
彼女は横向きの姿勢で、私とは反対側に顔を向けていました。
何を考えているのか、どんな表情をしているのかはわかりません。
私は身体を半身にして彼女の方を向きました。
「奥さんのこと、襲ったりしないんですか?」
彼女が口を開きます。
私は質問の意味がよくわからなくて思わず聞き返しました。
「襲うって?」
「求めるってことですけど」
「こういう風に?」
私は彼女に身体を寄せて、ぴったりとくっつきました。後ろから手を彼女の身体の前に回し、彼女の手の甲に手のひらを重ねます。
じんわりと体温が伝わってきました。
「そう。ないんですか」
私は事前のやりとりで配偶者とはまったく夫婦生活がないことを伝えてありました。
「まったくないですよ」
「どれくらい?」
「まる3年くらいですかね、なおこさんは?」
「全然、そもそもダンナ家に帰ってこないんで」
「そうなんですね」
彼女の首筋に口づけします。なおこさんはぴくっと身体を震わせました。
空いている右手を使って、彼女の身体をバスローブの上からゆっくりと撫でていきます。
背中から肩、腰から尻、そいて太ももから剥き出しになったふくらはぎへと手を動かしていきます。
彼女は目を閉じて、恍惚とした表情を浮かべていました。
女はこんな風に感じる
私は彼女の背中に密着した状態で、彼女のバスローブの帯に手を伸ばしました。
タオル地の紐をゆっくりとひっぱると、蝶結びにしてあった帯がするっと溶けて、なおこさんの胸元があらわになりました。
バスローブの上から触った感じでわかっていましたが、彼女はブラジャーをつけていました。小ぶりな胸ですが美しい谷間を形作っているのがわかります。どうしてわざわざブラをしているのだろう?と訝しく思いながらも、バスローブの袖を肩から腕へと抜いていきます。
彼女は「ふふ」と照れたように笑いました。裾の方をはぎとると形のよいお尻が現れました。
そこで私はまた少し困惑することになります。
すっかり脱がせてみてわかったのですが、なおこさんは胸こそブラジャーで隠しているものの、下半身には何もつけていなかったのです。
薄暗がりの中でも彼女の黒々としたヘアーが見て取れました。
「どうして下着つけてるんですか?」と耳元でささやくように聞いてみました。
彼女が答えます。
「え〜、だって恥ずかしいから。隠しとこうかなって」
ではなぜ下半身は丸出しなのでしょうか。
「あ、そうなんですね。でも下は隠れてないけど?」
「んと、あの、パンツ濡らしちゃったら嫌だなと思って」
「‥なるほど」
なるほどとは言ったものの、そのロジックはよくわからないものでした。これが乙女心というものでしょうか。
「もう濡れてるんですか?」
彼女は黙ったまま小さくうなずきます。
薄暗がりの中ですが、彼女の顔が耳まで真っ赤になっているのがはっきりとわかりました。
私は彼女の思いがけない恥じらいの仕草に胸がきゅんとしてしまいました。いちいちめんどくさかったり、注文が多かったり、二人でいるのにTVを見出したりと、なにかと性格が合わないなあとは感じていました。それでも、彼女は可愛い女性でした。
途端に私のS心が顔を覗かせます。
「ちょっと確かめてみますね」
私はそう言って膝を立てると、上体を伸ばして彼女の首筋に優しく口付けました。そして右手を尻の間から奥へと滑り込ませました。
指先が熱くぬるぬるとしたものに触れます。
「きゃんっ」
彼女は甲高い声をあげて身体をふるわせました。
「ほんとだ。濡れてる」
「いやん」
なおこさんの陰唇にあてがった中指をゆっくりと前後に動かします。指の腹に粘液がからみついてくるのが分かります。とてもスリリングな瞬間です。
彼女は手を伸ばして、股間をまさぐる私の手首をつかみました。しかしその手にはまったく力が入っていません。私は彼女の形ばかりの抵抗を無視して、往復運動を続けました。
「ああ、あ、あ」
なおこさんの口から甘い泣き声があがります。指をクリトリスの先に触れさせると、その声はいっそう大きくなりました。
尻が上下左右に揺れますが、私はぴったりと指を陰核にはりつけて愛撫を続けます。腰が持ち上がり、可愛らしいアナルが丸見えになりました。素晴らしい眺めです。
この女はこんな風に感じるんだな、と愛おしいような気持ちになります。
一定の速度でクリトリスの刺激を続けます。なおこさんの息がどんどんと荒くなり、腰が左右に揺れます。
クリトリス愛撫に限らず、女性を愛でるときの重要なポイントは、一定の強度、一定の速度で、同じ刺激をただ淡々と繰り返すということです。
私は出会い系を始めて、何人かの女性と毎月のようにセックスをするようになってから、そのことがぼんやりとわかるようになっていました。男が自分でする感覚で刺激を強く、手の動きを速くしていくのはどうも間違いらしいのです。
このときも私は指先に感じる熱い粘膜の感触に興奮して、思わず指を激しく動かしたくなりましたが、思い直してぐっと堪えました。
そうやって同じ速度で刺激を続けていると、意外にはやくその瞬間がやってきます。
「だめだめだめ、ああ、だめ」
なおこさんの泣き声がひときわ高くなりました。
S心がくすぐられます。
「何がだめなの?」
私はあくまで同じ力加減、同じ速さで陰核を愛で続けます。
「だめ、いっちゃういっちゃう」
彼女の両脚にぴんと力がみなぎり、腰がぐっと高く持ち上がります。
私は指を離さないようたくみに手の位置をコントロールしながら、指先でクリトリスを転がし続けます。
「あ、いくいく、いくっ!」
そう叫ぶやいなや、女の尻がふるふると揺れ、やがて力が抜けて腰がどさっとベッドに沈み込みました。彼女の股間から手を引き抜くときに、熱い粘液が糸を引くのが見えました。
臀部の間から、濡れた性器と肛門がのぞいています。実に美しい光景でした。そうやって下半身はあられもなくすべてが晒されているというのに、胸はブラジャーで隠れているというのが何ともエロく、興奮をそそりました。
毎月のように会う関係に
そこからは完全にこちらが主導権を握りました。
深いキスを交わしながらブラジャーのホックを外します。そして改めて女の身体をじっくりとくまなく愛していきます。なおこさんは身体をよじらせながら、甘い泣き声をあげ続けました。
彼女のスレンダーボディが私の愛撫に反応してそり返る様を見るのは至福のひとときでした。特に乳首の感度が素晴らしく、たっぷりと時間をかけて胸を攻めました。小ぶりな乳房と形のよい乳首は実に美しいものでした。
シアリスという薬もよく効きました。
たっぷりと彼女の反応を楽しんだ後、さあそろろ挿れようかというころ、私のペニスからは幾分血流が失われていました。
いつものパターンです。私は女の反応を楽しむあまり、いつも1時間近い時間を前戯にかけてしまって、それが終わるころにはすっかりと萎えてしまうのです。
そこで彼女のほっそりとした手をそっとつかみ、私の股間へと導きました。彼女は手を開いて優しく握ってくれます。
細く綺麗な指が上下に動き、すぐにペニスに血が通ってくるのがわかりました。
ふと彼女の顔を見ると、優しく微笑んでいるようでした。
彼女の熱い膣内に深くペニスを沈める感触は、ごく控えめにいって最高でした。
私は我を忘れて腰を振り、彼女もそれに応えてくれました。陰部が結合するこの一体感、女の肌のぬくもり、舌と唇そして胸の柔らかさ。それらを五感で味わいながら、私は彼女との行為に溺れていきました。
ことが終わったあと、私たちはベッドに並んで寝転び、とりとめもない話をしました。
主に彼女が家庭の状況について話しました。若くして結婚して子どもをつくり、齢30後半を迎えようとする今、夫婦も家庭も壊れかけているというような話でした。
彼女の側の話だけを聞いているので、実際はどうなのかわかりませんが、有り体に言ってなおこさんの配偶者はひとでなしでした。彼女の子どもたちもかなりの問題を抱えているようでした。
そんな辛い日常からいっときでも抜け出したくて、出会い系で男を探しているのだそうです。
こう言っては何ですが、そこらじゅうに転がっていそうな典型的なパターンです。私自身が彼女とほぼ同じ目的で出会い系を使っている訳ですから、世の中には石を投げればこういう既婚者にぶつかるというくらい、ありふれたことなのでしょう。とは言っても、当の本人にとっては実に切実な問題なのです。出会い系を使って配偶者以外の異性に会い、疑似恋愛やセックスの刹那的な快楽にふけることは決して褒められたことではないのかもしれません。でも、人生綺麗事だけではやっていけないのです。私となおこさんは似たもの同士だったと言えるかもしれません。
それが理由でもないのですが、我々はその夏の出会い以降毎月のように逢瀬を重ねました。
会って食事をし、ホテルへ行って交わる。毎回判で押したように同じことを繰り返しました。
彼女は性に対してそれほど好奇心や探究心のある方ではなく、毎回の交わりは(私の基準からすると)至ってノーマルなものでした。
毎回楽しく会話はするものの、性格や価値観が全然合わないなと思うこともよくありました。
それでも、彼女とは関係が途切れるまで8回も会うことになりました。私の出会い系女遊び歴の中では最多の部類です。毎回彼女に会うことが楽しみでした。
その頃はまだ100人斬りをしようなどとは夢にも考えておらず、毎月安定的にセックスできることで十分満足していたというのもありますが、とにかくスレンダーな彼女のボディが好みのど真ん中だったということは大きかったのかなと思っています。
もうなおこさんに会うことはないと思いますが、今でも彼女のことはよく思い出します。
どこかで幸せに過ごしていて欲しいと、心から願っています。